💡 この記事で得られること
- レコメンドが「押し売り」になる原因と回避法
- アップセル vs クロスセルのタイミング別使い分け
- 実装コストをかけずに始められる3ステップ
「1品だけ買ってすぐに離脱されてしまう(客単価が低い)」
「せっかくカート画面まで来たのに、他の商品を見てくれない」
実店舗では、会計待ちの時にレジ横のお菓子をつい手に取ってしまいますよね。
あれは「邪魔にならない」かつ「ちょっと欲しくなる」絶妙な配置だからです。
ECサイトでも、「関連商品(レコメンド)」の出し方ひとつで、回遊率と客単価(AOV)は大きく変わります。
今回は、AI任せにするだけではない、“気が利く店員さん”のようなレコメンド設計について解説します。
おすすめが嫌われる理由(唐突・理由がない・邪魔)
「この商品を買った人はこんな商品も…」
これは確かに効果的ですが、出すタイミングを間違えると「押し売り」に感じられ、逆に離脱の原因になります。
- 唐突すぎる: まだメイン商品を検討している最中に、別の高い商品を勧められる。
- 理由が不明: なぜこれを勧められているのか脈絡がない(例:Tシャツを見ているのに、突然冬物のコートが出る)。
- 邪魔: スマホ画面を覆い尽くすポップアップなど、操作を阻害する。
お客様は「自分の買い物の邪魔をされたくない」のです。
関連導線の鉄板ロジック(アップセル vs クロスセル)
ただ並べるのではなく、「今、お客様は何を考えているか?」に合わせて出す商品を変えるのが鉄則です。
シンプルな分岐で考えましょう。
レコメンドの基本フロー
- お客様が商品詳細ページを見ている
- まだ カートに入れていない(検討中) → 比較・類似商品を表示
- すでに カートに入れた(購入決定) → 合わせ買い商品を表示
1. 検討中なら「比較救済」(アップセル/類似)
まだ迷っている段階の人に、全く違う商品を出すと気が散ります。
「こっちの方が上位互換ですよ」「色違いもありますよ」と、“選びやすくする”ための提案をします。
具体例:
- 1万円のイヤホンを見ている人 → 「ノイズキャンセリング付き(1.5万円)」を提案(アップセル)
- 在庫切れの商品を見ている人 → 「似たデザインの在庫あり商品」を提案(類似)
2. 決断後なら「合わせ買い」(クロスセル)
カートに入れた、あるいは購入直前のタイミングこそが、本当のレコメンド(ついで買い)の出番です。
ここでは“ないと困るもの”や“あるともっと楽しくなるもの”を提案します。
具体例:
- 革靴を買おうとしている人 → 「防水スプレー」「シューキーパー」を提案
- キャンプ用テント → 「グランドシート」「ランタン」を提案
💡 ポイント:
「これとこれを一緒に買うと、あなたの体験がこう良くなりますよ」という文脈(セット提案)が見えることが大切です。
出すタイミング設計(比較後・迷いが出る地点)
レコメンドは「どこに出すか」が命です。
- 商品詳細ページの下部:
説明を読み終わり、「うーん、ちょっと違うかな?」と離脱を考えた瞬間に「似た商品はこちら」と出すのがベストです。 - カート投入後の確認画面:
「買い忘れはありませんか?」というスタンスで、送料無料ラインまでの調整アイテム(消耗品など)を提案します。
「最近見た」「比較中」を救助導線として使う
地味ですが最強の機能が「最近チェックした商品」(閲覧履歴)です。
ECサイトでは、お客様はあちこちのページを行ったり来たりします。
ふと「さっきのアレ、やっぱり良かったかも」と思った時に、すぐに戻れる導線があるかどうか。
これがないと、「探すのが面倒だからもういいや」と離脱されてしまいます。
常に画面の端やフッター付近に、直近見た3〜5商品を表示しておくだけで、回遊率は確実に上がります。
効果測定(PV/セッション、関連クリック率)
- PV/セッション: 1回の訪問でどれだけ多くのページを見てもらえたか。
- レコメンド経由の購入率: 関連商品をクリックした人が買っているか。
📊 公開データに見る、レコメンド改善の効果
レコメンド施策がどれほどのインパクトを持つのか、公開されている調査・事例データをまとめました。
クロスセル・レコメンドの売上インパクト
- Amazonの売上の35%はレコメンドエンジン経由で生み出されている(McKinsey調査)。
- クロスセルはEC全体売上の10〜30%を占めるとされている(Oxford Centre調査)。
- レコメンドを利用した顧客は、利用しない顧客よりもCVRが70%高く、カートに追加して購入を完了する可能性が4.5倍高い(Oxford Centre調査)。
客単価(AOV)への効果
- AIレコメンドを導入した企業は、売上が最大30%増加し、顧客満足度が25%向上した(McKinsey調査)。
- WalmartはAIレコメンドエンジン導入後、オンライン売上が10〜15%増加し、カート放棄率が20%減少した(Zignuts調査)。
- スポーツウェアブランド「Kappa」は、パーソナライズドレコメンドにより客単価が11%向上した(Auxano事例)。
💡 ポイント: レコメンドの成否を分けるのは「タイミング」と「文脈」です。Amazonのように"よく一緒に購入されている商品"をカート投入後に出すのと、検討中に出すのでは効果がまったく違います。押し売り感なく自然に「ついで買い」を生み出す設計が鍵です。
導入ステップ
高度なAIレコメンドツールを入れる予算がなくても大丈夫です。
まずは手動で「これとこれは親和性が高い」という商品同士を紐付けることから始めましょう。
- 売れ筋トップ10の商品に対して、手動で「合わせ買い」商品を3つ登録する。
- 商品ページの下部に「最近見た商品」エリアを作る。
これだけで、サイト内の「行き止まり」が減り、血流(回遊)が良くなります。